最近話題の「ニート」の実態を扱った書。初めて知る話が多く、なかなか読ませる本である。ニートとは、Not
in Education Employment,or Trainingの略で、学ぶことにも、職業訓練を受けることにも、働くことにも踏み出せない人のことである。問題の多くはやはり人間関係を築くことが下手なことに原因がある。この一種の引きこもりに近い状態の人が、2000年に17万人だったのが、2003年には実に40万人に急増している。もはやフリーターに匹敵する規模である。日本だけではなく、英国でも問題視されている社会問題となっている。本書はフリーライターの曲沼が現場からのレポートを書き、学者の玄田が社会現象として分析するという手法を用いている。曲沼のルポの部分が読ませる。兵庫県と富山県が、100%の中学生に1週間の社会学習をさせているという話は初耳。富山県の例が紹介されているが、なぜかとても感激した。
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