トヨタの経営をヨイショした本を読んだ後で、バランスをとるために選んだ書。トヨタを告発するタイプの本は非常に多く出ているが、愛知労働問題研究副所長という肩書きにひかれ本書をピックアップ、経営側からの視点ではなく地元と現場に根付いた深みのある内容を期待して手に取ったが、残念ながら若干期待はずれだった。悪い本ではないのだが・・・
確かにトヨタの労働現場の様子は分かる。トヨタにおける派遣や季節工、過労死といった問題は一通り理解できる。しかし想定の範囲内の話がほとんどで、特段驚くような話は出てこないし、逆に「トヨタの現場って、他の工場と大差ないのでは」といった気までしてしまう。鎌田慧のルポ「自動車絶望工場―ある季節工の手記」や堀江邦夫の「原発ジプシー」などに比べると、インパクトに欠け読後感は今一歩である。
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